手汗でスマホやゲーム機がびしょびしょに…手掌多汗症の対処法
スマホやゲーム機を使用している最中、自分の手汗が気になったことはありませんか? 「他の人はそんなことないのに、なぜ自分だけベタベタになってしまうのだろう…」と悩んでしまう人もいるかと思います。
そうした手汗による支障が他の場面でも日常的にある場合、「手掌多汗症」という病気の可能性があるため注意が必要です。
手掌多汗症とは?
手掌多汗症とは、交感神経の働きの異常から、日常生活に支障がでるほどに手のひらに汗をかいてしまう病気のことです。
症状の度合いは人によって異なりますが、触ると分かる程度のものから盛んに水滴ができるものまで様々です。症状が重く、汗がポタポタと滴り落ちるほどになると、何かしらの治療をしなければ日常生活に支障が出てしまいます。また、手掌多汗症の人は汗をかいているのを自覚すればするほど緊張してしまい、さらに手汗をかいてしまう傾向にあります。
多汗症は幼少期に発症することも多く、勉学に支障をきたすだけでなく、いじめの原因になることもあります。もし、お子様の手掌多汗症が疑われるようなら、早めにしっかりと病院で診察を受けることをおすすめします。
スマホやゲーム機のベタつき・故障の原因にも
手掌多汗症で手汗が多いと、物に触れた時にベタベタになってしまいます。最近ではスマホなど、画面に直接触るタッチパネル製品が増えてきているため、そうした悩みを抱える人が多くなってきています。
症状が重い場合には、画面が汚れるだけでなく、誤作動や故障の原因になることもあります。そこまで多くの汗をかいてしまうケースは少ないですが、手汗の多い方は注意が必要です。
手掌多汗症の解決方法
手掌多汗症には様々な治療方法がありますが、代表的なものは以下の4種類です。
1.心理療法
心理療法とは、緊張や興奮による精神性発汗を和らげるために、カウンセリングや自律訓練法という手段によって治療を行う方法です。リラックス状態にすることによって精神的な負荷を小さくし、手汗を抑制します。
2.イオントフォレーシス療法
イオントフォレーシス療法は、電流を流した水に手のひらを浸すことで汗腺にダメージを与え、汗の量を抑える方法です。専門の機器を使用し、定期的に治療を行います。
3.薬物療法
薬物療法は、神経遮断薬、ボトックス注射、塩化アルミニウム水溶液などを用いて治療する方法です。
神経遮断薬とボトックス注射は、アセチルコリンという発汗を促進する物質を阻害することにより手汗を抑えるものです。
塩化アルミニウム水溶液は、就寝前に汗をかきやすいところに塗りこむことで汗腺を塞ぎ、汗を抑える効果があります。
4.ETS手術
最も効果が早く確実なのは、交感神経を遮断するETS手術(胸腔鏡下交感神経節遮断術)を受けることです。個人差はありますが、手のひらだけではなく脇の下や額の汗も抑える効果もあります。
注意しなければならないのは、ETS手術には、胸やお腹などに汗がかきやすくなる代償性発汗という副作用がある点です。そのため、まずはイオントフォレーシスや薬物療法などを試し、どうしも改善がみられない場合の最終手段として手術を行うのが普通です。
適切な対処法を
上述したように、手掌多汗症の対処法には様々な方法がありますが、症状や原因に応じて適切なものを選んでいく必要があります。例えば、精神性発汗(緊張や興奮による発汗)が原因となってるケースでは、心理療法などから試していくことをおすすめします。
何もしないで手掌多汗症が治ることはほとんどありません。自分に適したもののうち、副作用の小さいものから始めていくよう心がけましょう。
まとめ
今回は、手掌多汗症の対処法についてご紹介しました。
文字を書く時に汗で紙が破れてしまったり、スマホがびしょびしょになってしまうなど、手掌多汗症は日常生活に悪影響を及ぼしやすい症状です。
完全に治療しようとする場合は手術が一番確実ですが、副作用もあります。精神的にリラックスすることで症状を緩和することも可能ですので、まずは、自分がリラックスできる環境作りを意識して、手掌多汗症としっかりと向き合って治していきましょう。
そして、周囲の人に理解してもらうことも大切ですので、家族や親しい友人にはできるだけ打ち明けて、上述した対処法に励むことをおすすめします。